小説「世紀末の苦悩」
1990年から2001年までの日本とアメリカが舞台。一人の人間が苦悩から学び解放されていく様を描く。


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東京在住、30代独身男性。



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第6章 テニス部員
まずは第1章から第5章まで読んでください。


一九九二年 春

 晴れて大学生としての生活をスタートした。これといって高校生の時と自分自身が変わったという認識はない。同じ市内なので自宅から通うのに変わりはない。制服を着ずに、私服で通学することになったというだけだ。大学そのものが珍しいものであると思っていない。そもそも日本の大学は、レジャーランドなどと呼ばれている。社会人になる前の休息の場という感じだ。入学してしまえば、単位を取り卒業するのは楽だ。ならば、それなりの青春を謳歌して、無事、就職先を決め卒業できればいいかなと秀生は考えていた。
 新入生への様々な誘いを受けた。合同コンペ(合コン)の誘いもあった。安倍と一緒にいろいろな合コンに参加した。出会いを求めてというよりも、ただ楽しみたいという感覚で参加した。お酒を飲んでカラオケを歌い、冗談めかしたことを会話した。いろいろな大学の男子・女子学生と交流した。男子にも女子にも、それなりに親しくなり友達になった者もいた。だが、いまいち「彼女」とか「ガールフレンド」とか呼べる女性とは出会いが巡ってこなかった。何人かモーションをかけてきた女子大生はいたが、今ひとつ気乗りしなかった。なかなかの美人ではあったが、高校時代の春沢裕子のことを思いだし、どうも踏み出せなかった。彼女には結局ひどいことをしてしまったと反省している。自分が、ホモではないのかという疑いを打ち消すがために付き合い始めたのが良くなかったと思った。
今度こそは、自然と積極的に近寄りたくなる女性と付き合おう。心から惹かれる女性と。そんな女性がきっといて出会えるはずだ。秀生はそう信じた。
 そうこうしているうちに夏が来た。
 安倍は、彼女が出来たことをよく秀生に自慢した。何でも、合コンで知り合った女子大生である。見た目は、ブスではないがそんなに美人ではなかったが、安倍は自分にしっかりついてきてくれる彼女が出来たと大喜びであった。外見上、お互い釣り合っているから結構なことだと秀生は思った。今まで片思いで振られ続けていた安倍にも、やっと運が向いてきたということか。

 親友が先んじたことに、秀生は焦りを感じた。多少なりとも、安倍よりは見立てがいい自分が、まだ彼女を探せていない。どうにかして見つけないとと考えるようになった。だが、焦って失敗したくない。しかしこのままではまた、ホモだという噂が流れてしまう。それだけは避けたい。

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